コラム

(16)M・ダックスフンドの椎間板ヘルニア

M・ダックスフンド、ビーグル、ペキニーズ、ジーズーなどの軟骨異栄養性の犬種は、椎体と椎体のクッションになっている椎間板物質が脊髄に脱出しやすいため、椎間板ヘルニアを起こしやすいといわれています。特にM・ダックスフンドは飼育頭数も多いため、椎間板ヘルニアを起こす犬種の代名詞となっています。

症状は急に体のどこかを痛がるようになったり、片足あるいは両足を引きずって歩くようになります。

当院ではこのような症状のワンちゃんが来院した場合、次のような流れで診察します。

まずは一般検査を行います。

①神経学的検査 ②血液検査 ③レントゲン検査 ④必要に応じて超音波検査、ホルモン検査、尿検査

上記の検査で脊髄疾患の仮診断をします。

脊髄疾患には椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、脊髄空洞症、脊髄軟化症、脊髄梗塞、変性性脊髄症などがあります。

脊髄疾患の鑑別診断をするには特殊検査が必要になります。特殊検査とは麻酔下で行う脊髄造影検査、CT検査、MRI検査などです。脊髄造影検査は当院で行いますが、CT検査やMRI検査は他院への紹介となります。

最近来院したM・ダックスフンドの症例を紹介します。突然、両後肢が立たなくなり前肢だけでの歩行するようになって来院しました。

一般検査で脊髄疾患を仮診断した後、内科治療を行いました。しかし、内科治療では著しい改善が認められませんでした。次に飼い主さんと相談の上、麻酔下で脊髄造影検査を行いました。

結果は、腰椎の3番目と4番目の椎間板ヘルニアでした。

このような症例は手術が望まれます。

手術の様子です。圧迫された脊髄です。

摘出した椎間板物質です。

圧迫が解除された脊髄です。

手術後リハビリを行い、完全歩行ができるようになりました。