中高齢のワンちゃん・ネコちゃんで、発作や運動障害、視覚異常や意識レベルの低下など、様々な神経症状が見られる場合、脳腫瘍に罹患していることがあります。
脳腫瘍は、血液検査、X線検査、超音波検査で診断をつけることが困難なため、CT検査やMRI検査が必要となります。
<<症例1>>
フレンチブルドッグ、8歳、避妊メス
主訴:痙攣発作
CT画像では、腫瘍による脳の正中線の偏移(midline shift)が見られます
MRI画像では、T2W(T2強調画像)とFLAIR(水抑制画像)で高信号、T1W(T1強調画像)で低信号を示す腫瘤が認められます。腫瘤によって脳が圧迫され、脳室が左右不対称になっています。
MRI画像(T2W=T2強調画像)
MRI画像(FLAIR=水抑制画像)
MRI画像(T1W=T1強調画像)
<<症例2>>
Mix犬、7歳、避妊メス
主訴:痙攣発作
CT画像では、腫瘍による脳の正中線の偏移(midline shift)が見られます
MRI画像では、T2W高信号、T1W低信号の腫瘤が認められ、FLAIR像から腫瘤周囲の広範な部分(高信号領域)で脳の炎症や浮腫を起こしていることが読み取れます。
MRI画像(T2W=T2強調画像)
MRI画像(FLAIR=水抑制画像)
MRI画像(T1W=T1強調画像)
MRI画像(T2W=T2強調画像、矢状断像) 特に前頭葉で腫瘤が発生し、炎症や浮腫により高信号を示しています